理系の海外大学院 理系学生向け情報

理系海外大学院の研究留学を失敗しないために知っておくべきこと

こんにちは、このブログを運営している理系しまびとです。

今回は、理系大学生・大学院生(修士課程、博士課程)向けに「研究留学」についての記事を書いてみました。

こんな方におすすめ

  • 研究留学に興味がある
  • 海外の研究室ってどんな感じか気になる
  • 海外大学院への進学も視野に入れている


僕は、大学院修士課程でドイツで一年間アメリカで1か月ほど研究留学した後、アメリカ・ニューヨークの大学のPhDコースに正規留学しています。

さらに、留学経験者対象のイベントを主催したり、イベントに参加したりしたので、文理問わず多くの研究留学経験者と話したことがあります。

 

今回は、僕が実際に研究留学してみて発見したことや準備しておいた方がいいことをまとめました

 

はまち
研究全般が進んでいるアメリカと工業大国ドイツで研究留学する理系大学院生は多いぞ。

 

この記事を読めば、

研究留学のパターンや留学するイメージが湧き、具体的なアクションも明確になります。

 

 

そもそも研究留学とは

研究留学とは、その名通り「研究をメインにした留学」です。

大きく3つのパターンがあります。

 

パターン1 交換留学で研究留学する

大学院の交換留学プログラムであれば授業も含まれるかもしれません。

交換留学プログラムであれば、多くの場合授業料は母校側に納めて、休学せずに研究留学できることが多いですね。

特に、修士課程ではダブルディグリーを採用している大学もよく聞きます。

僕は大学の交換留学プログラムで休学せずにドイツに行きました。

 

パターン2 休学して研究留学する

交換留学に対して休学して研究留学をする人もいて、この場合は別途授業料が必要になるため授業を受けない場合が多いです。

また、修士課程や博士課程の学生は、大学院だけなく研究所で研究をする人もいます。

共同研究先や教授の紹介で、留学するパターンが多いです。

 

パターン3 長期休暇や期間を限定して研究留学する

長期休暇を利用して、1か月~3か月ほど短期で研究留学するパターンも考えられます。

さらに、学校や指導教員の許可さえあれば、学期内であっても研究留学は認められる可能性もあります。

特に、博士課程で授業を取り終わった場合は、海外の共同研究先に出向く機会もあると思います。

 

研究留学のパターン

  1. 休学なしで交換留学プログラムをつかった研究留学(授業+研究のケースも多い)
  2. 休学して研究留学(研究だけのケースが多い)
  3. 長期休暇を利用して研究留学(場合によっては、学期内の可能性もあり)

 

期間はどのくらい?

期間は個人でそれぞれですが、ほとんどのケースが数週間から1年間程度だと思います。

特に修士課程2年になるころには就職活動もあるため、就活に合わせて短期で留学する人も少なくありません。

中には、就活の為に一時帰国する修士の学生もいます。

 

僕は個人的に半年以上をお勧めします。

研究のタイプや目的にもよりますが、半年程度研究をしないと研究成果が出ずらい、慣れてきたころに留学が終わってしまうからです。

特に博士課程になると、研究成果が求められるため、まとまった研究データが得られる期間が望ましいと思います。

日本でやっていた研究を全く同じテーマ・環境で研究を続けることは難しく、始めの方は海外での生活に慣れたり、研究や実験の準備をしたりして思った以上に時間を取られてしまいます。

と言っても、半年以上言うのは目安なので、「長期は現実的に難しい。でも、研究留学してみたい!」という方は是非短期であっても挑戦してほしいと思います。

 

費用はどのくらい?

【食費・生活費】+【滞在費】+【旅費】(+【授業料】)を計算すれば、おおよその費用は計算できるでしょう。

海外での生活費や滞在費については、地域や国によって全く違います。

「地域名 生活費」もしくは「地域名 living cost」などと検索してみるなどして調べてみてください。

また、僕の場合、大学の寮に入ることで滞在費をかなり削減できたので、とくに交換留学プログラムを検討している方は大学側に入寮が可能か費用はいくらか確認してみてください。

参考程度に僕のドイツのシュトゥットガルトでのが概算費用を載せておきます。この他に生活に必要なもの(ベットのシーツやライトスタンド etc...)や一時的な交通費・宿泊費もありましたが、おおよそ月10万円+αという感じでした。

 

生活費の例(ドイツにいたときの生活費)

食費 30,000 円
家賃 40,000 円
通信費 3,000 円
交通費 5,000 円
その他生活費など 20,000 円
合計 98,000 円

 

上記は参考で、現在僕が住んでいるニューヨークでは、家賃だけで10万円を越えてしまします。

地域によって全く違うので、留学先として考えている場所の物価を調べてみてください。

 

資金面で問題を抱えている方も多いと思います。

研究留学を含む、これまでの海外経験のほとんどは奨学金を頂いて実現させて頂きました。

奨学金の検索の仕方や準備、ノウハウはこちらの記事にまとめています。

よろしければ、合わせてご覧ください。

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必要な英語力は?

研究留学において、【英語力】×【専門知識】の値をできるだけ大きくしておくことが最も重要だと考えます。

つまり、英語力と専門知識のバランスが重要です。

英語力が全くないと、いくら専門知識があっても研究を進めることは難しいです。

逆に、もちろん、専門知識がなければ研究を進めることはできません。

 

お勧めの方法は、日頃から論文を英語で読み、さらにその発音や意味をきちんと調べておくことです。

知っている単語や見ればわかる単語でも、実際に会話になってしまうと理解できないことが多々あります。

どんな音か聞いて自分でも英語で音読してみるなどして、口と耳を慣らしておくといいと思います。

 

研究留学において、もっとも大事な英語力だと感じるのは専門用語を知っておくことです。

これがわかっていなければ、ミーティングや議論の時に意味が分かりません。

よく使われる専門的な単語を理解しておけば、英語が苦手でも教授や学生が言っている意味がある程度は理解できます。

実際に、ヨーロッパ内や南米、ロシアから研究留学に来ている大学院生は英語を話すのが遅かったり苦手であったりしても、最低限の英語は話せますし、専門用語も知っています

 

TOEIC何点必要ですか?という質問を頂くのですが、あえて言うならば、TOEIC700点程度取ることをお勧めします。

TOEICの点数は研究留学においてあまり当てになりませんが、生活できる範囲・必要最低限の英語力は必要です。

逆に、700点以上の点数を取れるようになってもあまり意味はないと思います。

なぜなら、TOEICの英単語はビジネス英語で、研究留学に適していないからです。

ある程度基礎的な単語と英語力をつけたら、スピーキングやライティング能力を含む実践的な英語力を身に着けた方がいいでしょう。

 

そこで余裕があれば、TOEFLやGREの勉強の方がおすすめです

TOEFLでは高校生の授業レベルの問題で、大学院での授業に必要な表現や単語を習得することができます。

点数が求められていなければ、文系の歴史、経済、地理などのセクションは飛ばして勉強すると効率的かと思います。

GREでは、数学用語を中心に勉強することをお勧めします。小数点や整数などの基本的な言葉から、二等辺三角形や楕円などの幾何学用語も知っておいた方がいいでしょう。

TOEFLやGREなどの教材を使って、理系が知っておくべきアカデミック用語を事前に勉強しておくことをお勧めします。

 

研究留学に必要な英語力のポイント

  1. 【英語力】×【専門知識】を意識
  2. 英語で論文を読み、耳と口も慣らしておくとGOOD
  3. TOEICは700点くらいでOK
  4. TOEFLやGREでアカデミック用語を勉強するのがおすすめ

 

実際に試した英語の勉強方法もまとめていますので、英語力で悩んでいる方は合わせて読んでみてください。

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海外の研究室はどう?

ドイツとアメリカで大学院のシステム(修士課程と博士課程)が少し違います。

詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみてください。

理系が海外の博士課程に正規留学するメリットとデメリット【アメリカはおすすめ】

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海外大学院の修士学生の場合

修士課程の学生は、博士課程(ドクター、PhD)に指導してもらい研究を進めるイメージです。

自分で考えて研究を進めるというより、博士課程の学生の指示に従って研究するという感じでした。

日本の修士は学部生の面倒もみて学会にも出る場合が多く研究室の要的な存在である印象がありますが、ドイツの修士はむしろ日本の学部生に近い印象でした。

ドイツでは、修士論文の発表も何度か観に行きましたが、失敗した結果も多く発表に取り入れていました。

結果が求められるというより、何をして何がわかったか、どこを改善する必要があるかを見られていたようでした。

ちなみに、修士論文の発表はそれぞれ結果がまとまったタイミングで行い、それぞれのタイミングで研究を終えていきます。

 

海外大学院の博士学生の場合

一方、博士課程の学生は給与をもらっているだけあって、教授を密にミーティングをして学部や修士の学生の研究をサポートします。

ドイツでは、研究室の半分近くが博士課程の学生でした。大学院のシステムの問題もありますが、アメリカでは半分以上が博士課程の学生である場合も多いと思います。

アメリカでもドイツでも、基本的には博士の学生のみ教授とのミーティングに参加したり、学会に参加したりしていました。

主にヨーロッパやアメリカが大学院では、博士課程の学生が研究室の中心でした。

 

研究室の探し方については、こちらの記事も合わせてご覧ください。

海外大学院の研究室を探す4つの方法、研究留学
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授業はどんな感じ?

特に大学院の交換留学プログラムを使って、研究留学する人は授業を受けることも場合もあると思います。

ここでは、海外大学院での授業の知っておくべきポイントを紹介します。

 

まず、どんな授業が開講しているのか調べること

できれば、先にシラバスを手に入れることが重要です。

調べる理由は、授業の内容を知るためでもありますが、単位変換できるかどうかを調べるためでもあります。

シラバスは、大学によってはオープンにしている大学もあれば、学生IDでログインする必要がある場合もあります。

シラバスを手に入れるために、留学していた先輩に相談してみる、学生IDを持っている日本に来ている留学生に頼んでみることをお勧めします。

交換留学プログラムの場合、日本側の大学も受け入れ先になっているので、探せば見つかる可能性は十分にあります。

実際に僕も日本に来ていたドイツの留学生に頼んで、ドイツ語の翻訳をしてもらったり、シラバスを調べてもらったりしました。

 

ドイツでは、基礎授業と演習の2パターンが週に2回ありました。

要は、公式や導出など基礎的なことを学ぶ授業の後に、その知識を応用するための授業です。

このように国や大学によって授業のスタイルが違うこともあるかと思うので、事前に知っておくに越したことはないと思います。

 

僕の個人的な感覚ですが、評価が日本ほど甘くないということです。

日本の大学院では、レポートをきちんと出して、試験もそれなりにしておけば高評価をもらえる印象でした。

しかし、ドイツやアメリカでは容赦なく不可にされます。

試験結果が張り出されるのですが、実際に半数の学生が不合格だった科目も少なくありませんでした。

授業の単位は日本で受けること研究に関する勉強や専門知識は日本語ベースで習得していった方がいいと思います。

 

授業において、僕が盲点だったと思ったのは、「板書が読めない」ことです。

これまで筆記体の英語を勉強してこなかったので、ドイツで授業を受けた際に初めの方はかなり大変でした。

余裕があれば、筆記体を読めるように準備しておくといいと思います。

 

海外大学院での授業のポイント

  1. シラバスを手に入れるべき
  2. 日本より評価が厳しい印象
  3. 筆記体を読めるようにしておくとベター

 

学校生活は?

 

留学前は夢のキャンパスライフを想像していたのですが、いざ研究を始めてみると、、、

自宅と研究室の往復で、毎日同じ人ばかり。

授業でも自分から話しかけない限り、まず話しかけられることはありませんでした。

 

僕は研究以外に国際交流グループに入ったり、学内の寮に入ったりすることで友達を作りました

また、研究以外の時間にも研究のメンバーをコミュニケーションを取るようにしていると、パーティにも招待してくれました。

研究の知識や経験を身に着けることはもちろんですが、異なる文化を持つ人と話したり仲良くなったりすることで、自分の価値観が広がったり、新しい視点が生まれたりします。

これから研究留学に行く人には、できれば多くの人と関わる機会をつくり、研究以外の経験も積んできてほしいと思います。

自分から行動することが大切です。

 

その他、確認しておくべきこと

簡単に、先に確認しておきたい、研究以外に重要なポイントだけお伝えします。

VISAが取れずに研究留学できなかったという声をたまに聞きます。

大学を通じた交換留学であれば問題ないのですが、インターンシップという形になったり研究員という立場になるとVISAが取りずらい場合があります。

受け入れ先の教授や指導教員もVISAに関して、詳しいとは限りません。

折角、話が進んでいてもVISAが取れないとなってしまっては勿体ないので、事前にその国のVISAは調べておきましょう。

 

また、住む場所も事前に調べておきましょう。

VISAを取る際や入国する際に聞かれる場合もあります。

多少高くても、最初の1か月や数か月は確実に住める場所を確保しておいた方がベターだと思います。

 

保険も重要なポイントです。

留学先では保険が必須になっている場合もありますし、必須ではない場合もあります。

僕の大学では、入学時に指定された保険会社の保険に入る必要がありました。

僕は事前に日本で保険に入っていましたが、このようなケースでは現地に着いてから入学するまではドイツでは保険ない状態になり得ます。

留学先でケガをしてしまって、莫大な医療費がかかっては大変ですから必要であれば日本で保険に入っておきましょう。

 

忘れがちなのが予防接種です。

国や地域によっては特定の予防接種を受けなければ、入国・または滞在できない場合があります。

入学が確定していれば、大学院側から連絡があると思いますが、事前に確認して時間に余裕をもって準備しておきましょう。

 

その他、重要なポイント

  1. VISA
  2. 住む場所
  3. 保険
  4. 予防接種の確認

 

最後に

今回は理系の大学院での研究留学について解説しましたがいかがでしたか?

修士課程と博士課程の学生は、少しでも興味があれば是非挑戦していただきたいです!

英語面や資金面に不安や問題がある方は、Twitterで声をかけてくださいね。

随時、個別に相談を受け付けています。

 

さいごに、留学計画を立てるときに読んでおきたい記事はこちらです。

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留学は楽しいぞ~。

 

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